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2009年9月14日

できそこないの男たち

陸上の世界選手権の女子800メートルで金メダルを獲得したキャスター・セメンヤ選手(18、南アフリカ)が「両性具有者」だとの報道などを受け、南アフリカのスポーツ・余暇相は「第3次世界大戦ものだ」と激怒した。

この報道を見て、少し前に読んだ福岡伸一氏の「できそこないの男たち」を思い出しました。

「生命の基本仕様は女である」というのを軸に、性決定遺伝子をめぐる研究者同士のせめぎ合いを絡めて展開する語り口は、ベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」や「プリオン説は本当か?」などに通じるものがあり、福岡紳一節といえるものかと思います。
先の2冊と合わせ、生物とはなんぞや?という究極の知的好奇心が大いに刺激される良書です。
かなりおすすめ。

なお、Amazon はただいま本の配送料無料みたいです。


2008年5月23日

自転車メンテ本

自転車のメンテの仕方はちゃんと知っておいたほうが良いだろうということで、良い本が無いか探してみてこれを見つけました。
新書くらいのサイズで全ページ写真解説付き。
事例別にまとめられていて非常にわかりやすかったです。
とてもおすすめ。
この週末は、あっちゃこっちゃ触ってみようと思います。

ミノウラ ディスプレースタンド/DS-30 BLT
ミノウラ ディスプレースタンド/DS-30 BLT

メンテ時に使うスタンドも欲しいなぁと思い、これを買いました。値段の割にはしっかりしてます。

パナレーサー(Panaracer) アーバンスーパーチューブ
パナレーサー(Panaracer) アーバンスーパーチューブ

やっぱり、パンク修理くらいは自力でできないと。お出かけ中の場合はチューブ交換したほうが早いみたいです。

パナレーサー(Panaracer) タイヤレバー付パンク修理キット/TL-KIT
パナレーサー(Panaracer) タイヤレバー付パンク修理キット/TL-KIT

パンクしたチューブは帰ってから修理。チューブ交換するにせよ、タイヤレバーは必需品ぽいので、このキットがリーズナブルじゃないでしょうか。

2008年5月11日

広辞苑

広辞苑が新版(第6版)になったというので、少々お高い気はしましたが買ってみました。
ネット上にもWikipediaをはじめとして辞書サイトが多数ありますので、実用上はそれほど無くても困らない代物ですし、選ぶならDVD版という選択肢もあったわけですが、辞書は紙メディアのほうが雰囲気があるということと、思い付いた時、必要に迫られた時に何気なくページを開いて眺めてみるというのがこの手の本の使い方かなと思うので、普通版を選択しました。
難点は、メガネをかけないと字が小さくて読めないということが一番。それと、やっぱりちょっと重くて扱いやすくは無いこと、それなりに場所を取るということでしょうか。でも、そういうのも含めて広辞苑とはそんなもんと思って使いたいと思います。

でもPC主体で実用的かつ個人的に利用するならDVD版も良さそうです。
普通版と両方あったらベストですよね。

DVD版は完全修正版というのがなぜか少し安く出ているみたいです。

2008年3月18日

乳と卵

遅ればせながら芥川賞受賞作「乳と卵」の感想。

結論から言うと、ここ何回かの受賞作の中では、かなり良かったように思います。
読点のみで区切られ、一文が延々と長い独特の文体に最初は面食らうようなところがありますが、決して読みにくくはなく、うねるようなリズムと抑揚に身を任せていると次第に心地良ささえ感じるようになります。齋藤孝氏の「声に出して読みたい日本語」に収録されても良さそうな見事な文体と言っても良いでしょう。
作者はシンガーソングライターでもあるということで、このリズム感はまさに「歌歌いの文章」なんかなと思いました。また、嫌味の無い大阪弁が文体とそのリズムにうまくマッチしていますが、その使い方もかなり計算されているようです。

ストーリーは、なぜか豊胸手術をしたいという40過ぎの母親と、その母親への反発からか周囲とのコミュニケーションを筆談のみにしてしまった娘が、大阪から東京で暮らす母親の妹を訪れ、そこで過ごす数日間をいくつかのエピソードと一緒に描いたもの。
妹の東京での日常に突如舞い込んだ大阪から来た母娘の非日常。
この母娘の互いに鬱屈した感情がクライマックスで弾ける辺りでの盛り上げ方と、そこからラストまでを読みきった後の読後感がすばらしい。
日常に対する非日常、平凡に対する非凡、特殊な対象や状況を取り上げながらも、最後に人間としての普遍性とは何かという命題を考えさせられるのがボクにとっての良い小説の条件でもありますが、これはそういう作品です。

文藝春秋のインタビュー記事では、この作品は樋口一葉へのオマージュであるということでしたが、「声に出して読みたい日本語」には樋口一葉の文章も収録されていました。
声に出して読み比べてみると面白いと思います。

2007年11月 9日

にあんちゃん

「ホームレス中学生」が平成のおとぎ話だとすれば、昭和のそれは、この「にあんちゃん」。
Amazonの「ホームレス中学生」のページで関連本として紹介されていたのにリアクションバイトしてしまいました。Amazonの思うツボです。まったくです。お手ごろ価格の文庫本は中古でしか入手できませんが、ぜひ手元に一冊置いてください。

この本、確か父の書棚にも置いてあったような気がします。その辺りの懐かしさもあって読んでみたのですが、「ホームレス中学生」で涙腺が緩んでるような人は間違いなくノックアウトされるでしょう。
この日記には、時代や世代、地域、国境を越えた人間としての共感を呼ぶ何かが詰まっています。著者が小学校3年生から5年生の間に書きとめた日記は、小学生とは思えないほどの表現力で、著者やその兄弟の素直な気持ち、まっすぐで前向きに生きるひたむきさを伝え、読む者の心を惹きつけてやみません。
貧乏であること、朝鮮人であること、両親がいないこと、そんな境遇でも決して卑屈にならず、澄んだ心で希望を失うことなく日々を精一杯生きる。そんな健気な兄弟たちにやがて奇跡が舞い降ります。その奇跡とは少女の日記そのものでした。昭和のおとぎ話の完結であり始まりでもあったのです。

★5つ。
おすすめです。

2007年10月31日

平成の奇跡

Amazonでも上位にランクされ今話題の本です。
若手お笑いコンビ麒麟の田村裕が自身の青少年時代を綴ったもの。
公園の滑り台で寝起きしたことなど、一部のエピソードはTVなどでネタにしてたりしますが、芸人の自虐ネタと思って読むと足元を掬われますので要注意。
涙腺の弱い人は通勤電車などで読んではイケマセン。

Amazonの書評では「平成のこの時代に、こんな悲惨な話があったのか」というようなコメントが付いてましたが、田村少年の周囲の人々の誰もが実に優しく、彼や彼の兄弟を支えてくれたことなど、悲惨というよりはむしろ田村少年は幸運ですらあり、月並みな表現ですが、心温まる良い話だなぁと思いました。

日々のニュースを見聞きしていると、
親に殺される子ども、
親を殺す子ども、
家も親もありながら家の中に捨てられている子ども
などなど、
もっと悲惨な話だらけです。
そしてまた大人たちも自分の居場所や明日への希望を見失い彷徨い続けている。
そんな平成の時代に、田村少年の周りの人たちの存在そのものが、ある意味奇跡と言えるんじゃないかなと、そう思えたのです。

彼が高1の担任の工藤先生から手紙をもらって人生の価値観が変わったと書いている一節の中の一言が心に残りました。

全てのことは繋がりがあって、思いやりの行動はいつか必ず良い結果を生み出すのだろう

2007年9月11日

プリオン説はほんとうか?

「生物と無生物のあいだ」の福岡伸一氏が、BSEの病原体とされる「プリオン」について科学的考察を加え、プリオン説に疑問を投げかけています。

BSEをはじめとする「スポンジ状脳症」は、遺伝子を持たない無生物であるプリオンタンパク質が病原体そのものであると言われ、提唱者であるプリスナー博士は1997年のノーベル賞を授賞されています。
福岡氏は、プリオンが病原体と仮定した場合の様々な問題点を挙げ、むしろBSEは「未知のウィルス」による感染症であるとしたほうが、従来の理論の延長上でシンプルに説明できるとしています。

「科学とは単純な原理で複雑な事象を説明できるものである」という意味の一文が心に響きました。

それにしても、いろんな感染症の病原体を特定する作業というのは、ロジックシンキングの極みといえ、想像を絶する地道な実験が必要であることに驚きを禁じえませんでした。
あのC型肝炎も病原体の遺伝子を特定するのに10年以上の歳月が必要だったとされており、しかもまだその実像を捕らえた者はいないのだそうです。このことからも、BSEがウィルスによるものだと考えた時、その姿が捉えられなくても不思議ではなく、宿主から採取されたごく微量の遺伝子の断片を寄せ集めて病原体の遺伝子核酸を特定するのもまた、C型肝炎以上に膨大な研究者と歳月が必要なのだと推察できます。
福岡氏も継続的にBSE病原体を特定する作業をしているそうですが、現在もまだプリオン説に変わる理論が実証できたという話は聞いたことが無いので、「未だ道半ば」なのでしょうか。
Nobbyは数年後、BSEウィルスの遺伝子配列が特定されプリオン説が否定される日が来るであろうと期待しております。それが世界中の研究者のうちの誰になるかはわかりませんが、発見した人は間違いなくノーベル賞をもらえることでしょう。

中学生くらいにこの本を読んでいたら、電子工学に進んでいなかったかもしれません。
「生物と無生物のあいだ」以上に面白く読めました。
おすすめです。

2007年8月17日

アサッテの人

第137回芥川賞を受賞した「アサッテの人」を読んでみました。
芥川賞作品は、毎回、文芸春秋に掲載された時に読む習慣にしてますが、ここ最近はいまいち記憶に残る作品が無かったです。

んで、この作品。
まず面食らうのはこの小説の特異な構成。
小説の中で、一人称の主人公が書く小説の原稿を引用していくというスタイルなんですが、引用の中でさらに登場人物のメモや日記が引用されたりしているので、最初の数ページは頭がこんがらがりそうになります。
慣れてしまうと、そうした混乱も無く読み進められるのは、作者の力なんでしょうね。
ですが、こういう構成はいわば一発芸とも言えるので、これをもって新たな表現形式を切り拓いたみたいなことを言うのもどうかなってところです。

1/3ほど読み進んだところで、

「なんだかカフカっぽいな」

と感じたのですが、さらに読み進むと主人公が自分の原稿を評して「カフカ風」と書いてあって、ちょっとびっくり。カフカなんて中学生の頃に読んだきりのはずですが、案外、古い印象というのは残っているもんです。

主人公の叔父が垣間見せる非日常的な言動を指して「アサッテ」と表現していますが、これ、自分の中にも潜んでいて突然何かの拍子に顔を出すことがあるように思います。ふっと一人になったときに意味も無く口から飛び出す独り言とかそういうのって誰にでもありそうですが、どうでしょうか?
人は誰しも、決まりきった日常から逃れてアサッテのほうを向いてしまいたい時があるのかなと、そんな非日常を内に抱えながら日々を生きているもんなのかなと、そんな感じです。

読み始めると一気に最後まで読めてしまうので、それなりに面白かったと評しておきます。
★3つ半くらいかな。

2007年7月17日

ベトナム

昨日のベトナムの戦いぶりを見て、アジアの中でもとても弱かった頃の日本はあんなんだったかなぁと思うところがありました。フィジカルや技術で勝る相手に、運動量と精神力で挑んでいく姿に共感を覚えました。

ベトナムやベトナム戦争を題材にした本はけっこうありますが、今まで読んで面白かった本を紹介しておきます。

まずは、開高健師の「ベトナム戦記」。
若き日のベトナム従軍記は、戦場の真っ只中に身を置いたものしかわからないリアルな臨場感で読む者の心を捉えます。絶対おすすめ。

お次は司馬遼太郎が終戦間近のベトナムを訪れ、ベトナム人について司馬流の洞察を加えた一冊。これ、哲学書ですね。
氏はベトナム人と日本人の国民性は似ているとコメントしています。
司馬遼太郎ファンならずとも一読する価値はあると思います。

こちらは、サイゴン陥落前後の現地の様子を克明に伝えるサンケイ新聞記者だった近藤紘一氏の「サイゴンの一番長い日」。
この時に知り合ったベトナム人妻との生活を描く三部作と併せて読むのがおすすめです。絶対ということは絶対ありませんけど、絶対面白いです。ほんまです。

■バンコクの妻と娘

■パリへ行った妻と娘

2007年7月 6日

生物と無生物のあいだ

Amazonを利用していると、購入したりチェックしたりした本やCDなんかに応じて、お奨めの本が表示されますが、「生物と無生物のあいだ」も、そうしてピックアップされた中から面白そうだったので購入してみたうちの一冊です。
科学物の読み物としてはここ何年かで一番のヒットかもしれません。
エピローグで、人は生物と無生物を無意識のうちに見分けているが、それは生物の何を見ているのか?と問いかけます。

中学から高校の頃、講談社の「ブルーバックス」シリーズをたくさん読んだ時期がありました。当時、理数系の科目が好きだったので、数学や物理学関係のものを次々と読んだものです。「生物と無生物のあいだ」を読み進むにつれ、昔読んだブルーバックスの内容を思い出しました。マックスウェル、シュレーディンガーといった物理学の巨人たちが生物学にまで大きな影響を与えていたというのは少なからぬ驚きでしたが、分子、原子レベルまで下りて生物の謎に迫ろうとすれば、生物そのものも物理学の理論に従わざるをえないということです。本書では、生命とは「動的平衡状態である」とし、生物としての秩序を保つために古い組織が新しいものに常に置き換えられており、生物はそういう動的な「流れ」の中の存在としています。
後半では非情なまでに科学的なアプローチで生命の謎に互いに競いながら迫っていく研究者たちの姿が描かれていて、分子生物学の偉人史、研究史のサマリとしても読み応え十分。
Amazonの書評でも書かれていますが、この方、ホントに文章がきれいで読みやすいですし、ストーリーテラーとしても一流。新書としては文字も小さめでボリュームのある本ですが、あっと言う間に読み終えてしまいました。
全てを超越した知性である神が人間を作ったとする「インテリジェント・デザイン」と呼ばれる考え方があります。かくいうNobbyはなんちゃって仏教徒ですが、キリスト教の神と同一でないにせよ、この宇宙は何らかの神の作用によって作られたんじゃないかと漠然と思っているクチです。
最後まで読み終えて少し宗教観が変わったような気がしましたが、それでも生物の持つ秩序を生み出すエネルギーには何らかの見えざる意思が働いているんじゃないかという思いは残りました。

★★★★★付けときます。

2007年2月17日

続:アンヌ隊員

こんなんありました。
写真集はパネルよりずいぶんお買い得感高し。
買う?


2007年1月 3日

ササメケ

高校サッカーで盛り上がるお正月ですが、Nobbyお気に入りの高校サッカーをネタにしたコミックはいかがでしょ?

はっきり言って万人向けではありませんので、悪しからず。
不条理&脱力系ギャグがお好きな滋賀県ローカル(特に湖北地方)向け。
登場人物の名前がいちいち滋賀県の地名だったりしますので、地元民のツボに来てしまうのでした。
作者のゴツボ×リュウジ氏は間違いなく地元のヒトです。
サッカーはメインじゃないので、期待したらあきません。

■主人公: 長浜楽市
■竹生島高校サッカー部顧問: 奥びわこ
■サッカー部マネージャ: 河瀬いなえ
■サッカー部主将: 安土桃山
■その他部員:
 曳山まつり、米原乗継、アントニオ多賀、八日市はじめ、などなど

■その他登場人物名、高校名など
近江舞子、秦荘、伊吹、瀬田、水口、永源寺
虎髭高校、以下高校、草津左高校、守山下高校
など。

読んでみたいと思うのは地元民だけやろなー。
なお、帯の推薦人はけっこう豪華で、あの「のだめカンタービレ」の二ノ宮知子さんもその一人です。

2006年6月28日

オシムの言葉

川淵さんが口を滑らせてたったの2日。
Amazon では、早くも「オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える」がランキングNo.1になってました。

お歳が心配ですが、少し楽しみではあります。
ちゃんと引き受けていただければ良いですね。

Jef千葉のサイトでも「オシム語録」は公開されています。
こっちから読んでみましょうか。

しかし、何ですね。JEF千葉。
J1のチームだったら、ちゃんとドメイン取得したほうが良いと思うのは、私だけ?

2005年9月15日

NANA

「NANA」が3冠 コミック、主題歌に続き映画も興収1位に

ここんとこ、TVでも映画のPVが流れてたりしますが、うちの娘と嫁さんが
「コミック読んでみたい。」
というので、Amazon で買ってやりました。

そしたら、嫁さんはなんと 1日で、13巻読破しよりました。
何がおばはんを駆り立てたのでありましょう?
ちょっと読んでみよかなと思ってます。

↓欲しいですか?
NANA (1)

2005年3月13日

フットサル&サッカー超実践足技

am_soccer_book.jpg
フットサル&サッカー超実践足技×抜き技トリックテクニック

リフティングくらい毎日練習せぇよ、
と思っていてもあんまりやる気の無い息子に少しでもやる気を出させようと、ちょっとカッコ良さそうな技が DVDで見られるこの本を買ってやりました。

早速、
「おぉ、すげ~!」
などと言いつつ、練習する前から出来た気分になってくれたようです。
割と基本的なリフティングから本と DVDで見られて、初心者にも向いてる気がしました。

am_soccer_nike.jpgNIKE FREESTYLE FOOTBALL

こっちの本も派手そうで良かったんですが、まずは基本かなぁと思い上の本にしました。
でも、面白そうやし、こっちも買ってみようかなぁ。

2005年2月19日

グランド・フィナーレ

am_grand_final.jpgグランド・フィナーレ

出版社 / 著者からの内容紹介
終わり、それとも始まり……神町を巡る物語。
「グランドフィナーレ」という名の終わりの始まり。
毎日出版文化賞、伊藤整賞W受賞作「シンセミア」に続く、
二人の少女と一人の男を巡る新たなる神町の物語。
第132回芥川賞受賞作。

てことで、芥川賞最新作。
今なら文藝春秋で読むのがお得でしょう。

「少女性愛者の内面を描く衝撃の問題作」というような書評を良くみかけますが、そういうイメージで読むと思い切り裏切られます。
常人には理解できない得体の知れぬ怖さや嫌悪感のようなものが描かれているかと思っていたら主人公はあんまりヘンな人では無いのですね。これが。
選考委員の村上龍氏の評が何となくぴったりきたんですが、氏も怖さが感じられない点をまず挙げてました。あと、マトモでは無いにせよ友人が多いことや、自己分析がちゃんとできている辺りが異常者らしからぬというのも確かにそのとおりかと思います。理解できぬ怖さ、気持ち悪さと言う点では第129回の「ハリガネムシ(吉村萬壱)」を上回っていないというところです。
それと、終わり方があまりに唐突で、そこから先にイメージを膨らませることもしにくいような。え?終わったん?という感じです。

ちゅーことで、
全体的にはイマイチかなと。
ちょうど一年ほど前は、綿矢、金原のW美少女の受賞で盛り上がった芥川賞ですが、前回、今回と普通の熱気に戻ったってとこでしょうか。

ちなみに、前回受賞作の「介護入門(モブノリオ)」と比べると、自分としては「介護入門」のほうが好きですね。

2005年2月18日

沈黙の春

am_silent_spring.jpg沈黙の春 : 新潮文庫

内容(「MARC」データベースより)
自然破壊にとどまらず人間の生命の核、遺伝子直撃へと環境問題が加速度的に複雑化、深刻化しつつある今日、その危機を40年近く前にいちはやく指摘し、孤立無援のうちに出版された名著「生と死の妙薬」(64年刊)を新装。

京都議定書が発効し、いよいよグローバルな環境への取り組みが具体的なものにされようとしています。その一方で、消費大国であるアメリカや中国はこれら取り組みに消極的なままです。人類の持続的発展よりも自己の目の前の利益のみを優先させようとしているということです。

環境問題の古典、あるいはバイブルと評される「沈黙の春」が世に出されたのは 1964年。
それから半世紀近くが経とうとしているにも拘わらず、状況はほとんど変わっていないように感じられます。温暖化の問題も、化学物質による環境汚染の問題もその根本原因は同じです。さらに言えば、アフリカ各地で起きている砂漠化や飢餓の問題、イラク戦争に代表される世界レベルでの紛争なども根っこは同じで、自己の利益のためにそうした問題に無関心でいたり、あるいは積極的に問題を起こそうとさえしているのです。
「世界がもし100人の村だったら」、「戦争はなぜ起こるか」、そして本書、それぞれ直接関係のない事柄を扱っているようですが、そこに見事なまでの連鎖が見出せるように思われます。さて、我々に何ができるでしょうか?

今一度、

Think global, act local

2005年2月11日

釣魚大全 アイザック・ウォルトン

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釣魚大全 アイザック・ウォルトン著、立松和平訳

釣り人のバイブルとして 350年の長きに渡って読み継がれてきた名著。
釣りや魚にまつわる著述を通して、人生そのものを語っているように思います。

絶望は無く人にもこびず
施しを求めずほどほどに暮らす
心地よい充足がただあるのみ

平凡こそが達人の道
過剰に求めず執着も無く
ブナの木が灼熱の陽をおおい
嵐の海にも苦の世間にも遠く
勤勉に慎み深く生きてゆきたい

質素な床で眠り
貞淑な妻が寄り添い
幼い息子の安らかな寝息
亡き父の肖像画が守り札
足りるを知り
不足を考えにいれず
笑って死にゆくのだ
墓は緑の芝生だけでよい

そしてあまりに有名なこの一節。

Study to be quiet

・・・穏やかなることを学べ

この本の初版は 1653年。
350年経った今、未だ世の中は争いごとが絶えないままです。
この間、人間は何一つ進歩してこなかったのではないかとさえ思うのです。


【2/11追記】
訳本は他にも 2つほど出版されているようで、それぞれ訳者が違います。
どの訳が自分にぴったりくるか読み比べてみたくなりました。

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完訳 釣魚大全〈1〉 平凡社ライブラリー
アイザック ウォルトン (著), Izaak Walton (原著), 飯田 操 (翻訳)

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完訳 釣魚大全 角川選書
アイザック ウォルトン (著), Izaak Walton (原著), 森 秀人 (翻訳)

戦争はなぜ起こるか

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戦争はなぜ起こるか

内容(「BOOK」データベースより)
戦争のかたちは変わってゆくが、その原因の基本的なところはあまり変わらないのではないか。そのいちばん基本的なところをできるだけ分かりやすい言葉で伝えた一冊。

目次
・戦争の原因を考えよう
・太平洋戦争はなぜ起こったか
・日中戦争はなぜ起こったか
・国と国のつきあい方
・軍人は戦争をやめられない
・第二次世界大戦はなぜ起こったか
・アメリカとソビエトの対立
・助け合おう
・宗教と戦争
・人口の増加は戦争になるか
・戦争は人間の本能か
・私たちのすすむべき道

映画評論家でもある佐藤忠男氏が 1974年に書いた表題の本が 2001年9月11日の同時多発テロを機に、同年11月にリニューアルされ新刊として発刊されたものです。発売当時、早速買って読んでみましたが、元々は子供向けに書かれた本ということで、平易で、しかしごまかしや逃げの無い文章で、日中戦争や太平洋戦争、その後のベトナム戦争などが起こされた理由を述べておられます。
結局、戦争はそれをすることで何らかの利益を得ようとする人がいるから起きるのです。それは、多くはお金だったりしますが、支配欲であったり、単なる体面であったりします。でも、それをあからさまには言えないので何らかの大義名分を持ち出すのです。戦争のやり方は時代とともに変わってきましたが、その要因は大昔からそれほど変わっていないように思われます。

歴史と言うものは、事実の中からその歴史を書き残そうとした人間に都合の良い事柄だけが取り出され、あるいは事実でないことさえも組み込まれ、それが全てであるかのように記述され出来上がるものではないかと思います。
だから、同じことを書いたにもかかわらず、書く人の立場によって全く違う歴史になっていることは良くあることです。
しかし、少なくともこの本は、そうした態度をできるだけ排除し、事実を事実として捉え、枝葉末節にはこだわらずにそこから導かれる物事の本質を的確に記述しているように思えました。
そういうこの感想自体、私個人の歴史観にマッチする本として評価しているに過ぎないかもしれませんが、ぜひ子どもに読ませてみたい本であることは確かです。

世界がもし100人の村だったら ...と併せて読んでみると、グローバルな視点からいろんな物事を考えられ、より深い読み方ができるのではないでしょうか。

2005年2月 9日

世界がもし100人の村だったら 3 たべもの編

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世界がもし100人の村だったら3 たべもの編

ベストセラーになった最初の本を読んだ時も少なからぬ衝撃を覚えたもんですが、昨年末に出たシリーズ3作目は「たべもの編」。
好き嫌いが多く食べ物を粗末にする息子に読ませてやろうかと思ったんですが、自分自身も考えさせられるものがありました。

日本の私たちは
世界でいちばんたくさんの
食べのこしを捨てています。
私たちが捨てる食べのこしは、
年に2000万トン以上です。
世界の食料援助量は、
年に1000万トンです。
村の水田のうち、日本の水田は
1.6%です。でも、
村の、稲作のための農薬のうち
半分以上は、日本が使っています。

中国と日本、食糧問題による人類滅亡は、東アジアのこの一角から始まるのかもしれません。

シリーズ 1作目、2作目はこちらです。

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この本を読んで、何か自分にできることはないかと思うことがあるでしょう。
この 2作目の前書きに、その答えが書いてありました。

Think global, act local by バックミンスター・フラー

2005年2月 8日

開高健の博物誌

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開高健の博物誌

開高健の遺した膨大な著作の中から、動物、魚、植物などについての記述をピックアップし、博物誌的にまとめた本です。
オーパ」、「私の釣魚大全」など釣りに関する本の内容が多いのかと思えば、「輝ける闇」などの中にさりげなく、しかし効果的に蛍の記述が使われていたりするのがわかります。
そうした文章を丹念に集め、開高健の自然への尊敬や思いやりが随所に感じられる良書に仕上がっています。
この一冊で師の文学のエッセンスを感じとることができるでしょう。